10years jacket
10年服を作っていると色んなことを思う。失敗もたくさんある。ある時の気分で作ってその時は本当に素晴らしいと思えても、すぐにその感覚がなくなってしまう時がある。
なるべくそういうものは世の中に出さないようにしているけれど、それでも判断を誤ることはある。
その逆で、シーズンとか、季節とか関係なく、ずっとお店に並んで新しい身体を待っていて欲しいと願う服もある。
このジャケットはそんな1着だ。僕もずっと着ている。
ジャケットというのは本来、肩、袖を強くすることで、まるでその身体が強いもの、に見えるようにする。
僕らはそれが嫌いだ。身体のフォルムは強くなくていい。線を描くのではなく、柔らかな面が身体を包むようにする。
そうしなければ、服は特定の誰かのものの為に作らなくてはいけない。身体を選ばなければいけない。
このジャケットは、どんな身体にも馴染む。僕はそのことを知っているから、今年もこの服を発表することにした。